コラム・お知らせ
2019.06.11
法律コラム

交通事故のきほん(3)~賠償基準と健康保険の利用~


治療に健康保険を利用できるか

相手方保険会社から健康保険を使ってくださいと言われて「被害者なのになぜ健康保険を使わないといけないのか?」と憤慨されて相談に来られるときがあります。

お気持ちは分かりますが、健康保険を使った方が有利になる場合があるのです。

まず、交通事故の場合、被害者に賠償義務があるので被害者が治療費を払うことが原則です。しかし、「第三者行為による傷害届」を提出することで健康保険を利用することは可能です。

相手方が任意保険に加入していない場合は自賠責保険の上限(ケガで120万円)までしか保険で支払われないので、健康保険利用より高額な自由診療を受けた場合に治療費が120万円の大部分を占めて休業損害や慰謝料が自賠責保険から受給できないことがあります。もちろん相手方に請求はできますが、そもそも資力がない人であれば絵に描いた餅になってしまいます。また、自分に過失がある場合も、自由診療を受けた場合はその金額の事故の過失割合分を負担することになるので、治療費が高額であると不利になるのです。

つまり、健康保険を利用すると診療点数1点に対し10円計算ですが、自由診療では1点に対し12円から20円と計算するところが多いことが影響しています。

なお、通勤途中や就業中の交通事故の場合は、労災保険が使えますので、勤務先に相談して利用するようにしてください。


賠償金の3つの基準

交通事故には3つの基準があると言われています。

自賠責基準 < 任意保険基準 < 裁判基準

この順で高額になります。

たとえば、主婦の休業損害については自賠責では1日5700円と計算されることが多いですが、裁判基準では賃金センサスの全学歴計全年齢女性平均で計算するなど基準が異なります。後遺障害では14級の場合、自賠責基準では75万円が上限(後遺障害慰謝料は32万円)ですが、裁判基準では110万円の慰謝料のほかに逸失利益も請求できるなど、かなり差が出てきます。

相手方保険会社は通常、自賠責基準か、少し増額した任意保険基準で示談申入れをすることがほとんどで、被害者本人がいくら裁判基準で請求できるはずと主張しても、弁護士が代理人とならない限りこれに応じません。そのため、交通事故の賠償では弁護士を依頼することが即増額になり、有利なのです。

また、基準が異なるだけではなく、保険会社は休業の日数計算を少なくなるようにしたり、慰謝料算定の基準となる通院期間を実日数に限ったり、あの手この手で賠償額が低くなるように計算してきます。弁護士に依頼すれば、単価が上がるだけではなく、判例の実績を持ち出すなどしてできるだけ有利に交渉を進めることができます。

実際、後遺障害の等級が高い場合は数千万円の増額となることもあります。

ただ、交通事故で大切なのは、できるだけ高い賠償金を獲得することではなく、できるだけ事故前の生活を取り戻すことだと考えています。治療段階から寄り添って不安を取り除くとともに必要な治療を受けられる環境を作り、将来の後遺障害の認定に向けて必要なアドバイスを続け、結果として相当な賠償を得ることが法的サービスだと考えています。

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